ポツドール [激情] 3/10マチネ


人の醜いところだけを抽出して増長させてそれを言葉と暴力とエロとグロで舞台に乗っけた感じ。そしてそれを包む土台としての「リアル」な演技。役者の台詞、動き、息遣い、表情どれを取っても素晴らしくリアルで、もうこの「静かな演劇」といわれる種別の演技としては最高峰なんじゃないかと。これがポツドールか。身を以て体感。
まー色んなタブーに触れる触れる。裏切りエログロ流血セックス妊婦を殴る仏壇の前アナルセックス部落差別障害者差別と。もう、なんでもアリだなぁという。人によっては絶対無理だと思います。今まで生活してきて見ることの無い/避けてきたものがギュッと濃縮。
ラストシーンの「すべてバッドエンド」への収束の仕方がもの凄い暴力的。急なんですよ。オチへの流れが。特に上手と下手。「誠意」と「いじめられっこ」が。ちなみにドラマ版(劇団演技者。)だと「誠意」はもっと前に済ませてて、「いじめられっこ」はその理由を明かされて無いです。随分と最後のワンカットに詰め込んできたもんだ。全部だぜ。全部。その急さが観ている側の脳みそをぶち抜く。ええーー!!!って。これは非常に効果的だと思いました。心臓がバクバクいってた。
セットは写実。そのまま生活できるような作り込み方。家の中も外も。特効は雪が秀逸。明かりの当て方が上手い。あと映像も格好良かったなぁ。音楽と相まって。最近の演劇はあれかい、オープニングムービーに凝るのかい。


非常に丁寧に作られていて、面白かったと思います。人間のだらしなさと業というか。この作品のドラマ性の膨大さは、もはやエンターテイメントと言っても良いと私は思います。良くできたエンターテイメントです。ポツドールは。皆観れば良い。あ、でも裏切りエログロ流血セックス妊婦を殴る仏壇の前アナルセックス部落差別障害者差別とかマジ無理もう死ねばいいと思うような人は見ない方が吉。こんなに人にお勧めするときに言葉を選ぶものは鳥肌実以来だ。