ポツドール三鷹市芸術文化センターPRESENTS [人間失格] 7/15 マチネ



まぁ今回も今回で三浦節全開のダメ人間ショー。展開にやや強引さが感じられたものの、そのソリッドな表現と観察眼と演劇に対しての真摯さは舞台上で活き活きと輝いていた。ただ、なんだか、観後感が薄くて、このショックの無さはなんなんだろうなぁと思った。

星のホールの大きさにちょっとマッチしてないセット。ポツンとアパートの一部屋。初観劇が本多の劇場だったこともあってか、少し物足りない、寂しい感じ。でも、その外の世界のあまりにもな広さと、中割幕とかバック幕の果てしないような黒さが、イサムの(勝手・確信犯的な)孤独感と、他の世界と相対した人一人、一部屋のこじんまりさを感じさせたと思う。

演技は相変わらず。凄く真面目。岩瀬、岩本、米村の男3人は、素晴らしい「若者らしさ」を持っていると思った。ただ、米村のキャラクターが凄くこなれて見えて、「あぁ。いるいる」くらいのレベルにしか持って行けてないと思った。それは、自分がヤンキーという人種を見慣れていないのか、若しくは見慣れているのか、というところだと思う。三浦がどこからああいう人物像を持ってきて、表現しているのか、少し知りたい。三浦の描いたヤンキーに、自分はハラハラしなかった。その点に関しては、白神のキャラクターも同じようなことが言える。

あの暗転中の音楽がちょう気になる。情報求む。いやセックスは良いんだよ。分かってるから。あ、その後行ったカラオケで岡村ちゃん歌ったら「だいすき」のPVが出て焦った。あと、三鷹駅前の歌広場の、あの匂いとトイレのベタつきは何なんでしょうか。どうにか。

あの、ラストへかけての暴力と、レイプシーンに関しては、まぁ、凄いよね。やっぱり米村の暴力芝居は凄く人を惹き付けるダイナミックさとリアルさを持っている。やっぱ創立メンバーは凄い。

今までポツは、武器である三浦スタイルを使って人間の内に秘めたる陰惨な部分というか、本能に近いところを表現してきて、それが結果として「ダメ人間達」を作っていく事になったと思うんですが、今回に関しては、「人間失格」という「ストーリー」がまずポンとあって、まぁ全然なぞらえちゃいないんだけど、ダメ人間を描こうとしてダメ人間を描いていた気がした。そこに若干の軽さと、安易さを感じざるを得ないかなぁ。そこが今回のイメージの薄さに繋がってるのではないかと。「性」とか「暴力」とか、そういう本能的なものを描こうとするパワーに、人間失格っていうもう成立されちゃってるものを描こうとするパワーは勝てないのかなぁ。と。

というのが今回の感想です。何か無理矢理突っかかって行ってってるような気がするのは気のせい。癖というか性分です。偉そうだけど許してね!

ちなみに今回一番面白かったのは、最近凹んでた友達と行ったら、その友達が観劇後に元気になってた事です。すっきりした!だって。4月何やるのかなー。溝口の女メイン企画はパスの予定。